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『何者』 演技をすること。偽ること。

傷つきたくないという一心ですべての登場人物が何らか自分を偽っている。登場人物の誰もが何者かになりたいともがきながら、必死で現実と戦っている。でも、どこかで自分を偽っている。自分の感情を。自分の本当の姿を。それが就活という舞台に立たされて、露わになっていくさまが滑稽でもあり、でも観客は誰かに感情移入し、自分を見ているような感覚に陥るのです。だからこそ。見ていて痛い!
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『モヒカン故郷に帰る』これぞ沖田修一ワールド

「作品世界にどっぷりはまる」ことができれば面白く見られる作品だと思います。逆に世界観が合わない人にとっては退屈なギャグ映画と捉えられて終わりかもしれません。沖田修一ワールドと表現されることが多いのは、それだけ変わった映画を撮る監督だからでしょう(褒め言葉)。基本ゆるい登場人物、テキトーな人間やいい加減な言動が連発することで作品世界に独特のゆるーい雰囲気を付け足し続けていくような、延長しようと思えばこのまま4時間コースの映画にもできる雰囲気のある映画が多いです。つまり、沖田修一監督の映画では、終わりも始まりものんびりとはじまり、ぼんやりと終わる。それでいてなにか心に残ったり、セリフをふと思い出したり。そんな映画体験ができるので好きです。あまり他所では見ないような映画ですよね。作家性としてはかなりのアドバンテージかと。
映画

『セイフヘイヴン』物語の文法を破壊する衝撃ラスト

『きみに読む物語』などのニコラス・スパークスの小説が原作です。監督は『ギルバート・グレイプ』や『サイダーハウス・ルール』などのラッセ・ハルストレム監督。 小さな港町にやってきた傷ついた女性が、同じく最愛の妻をガンで亡くし傷ついた男性と恋に落ちるのですが、実はその女性は逃亡中のみであることがわかり・・・というお話。この映画は軽くサスペンスの要素が入っていたので、最後までしっかりと見ることができました。ですが、やっぱり少々テンポが遅いのが気になります。 男女が出会って、お互い気になる関係でありつつ、一歩が踏み出せないもどかしさから、関係が進展して、恋の駆け引きが始まり、からのふたりは恋に落ちる。という恋愛初期の
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『ミッドナイト・イン・パリ』昔のパリもきっとこんな感じ

もしもこの偉人たちと食事できたら。すこしでも話ができたら。そんな夢や希望を叶えてくれる映画です。ゼルダ・フィッツジェラルドとスコット・フィッツジェラルドの関係性なんて、「こんな感じだったんだろうなあ」をもろにやってくれています。清々しいくらいに「きっとこんな感じだった偉人たち」が大勢出てきて、知ってる偉人が出てくるたびに「おおっ」と謎の興奮があります。
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『マンチェスター・バイ・ザ・シー』贖罪のための自傷は誰かを救うことになるか

そりゃそうなるわ。と思うには十分すぎるほどの痛ましい過去を知ることになります。ですが、私はそれでもこの男は自分を罰しすぎているという憤りを感じずにはいられませんでした。この男の塞ぎ具合がどうにも見ていて痛々しいのです。リー・チャンドラーは人とのコミュニケーションを一切断ってしまっている。その理由は映画の中盤に明らかになります。ここではネタバレになりますので控えますが、こんな経験があれば、誰だってふさぎ込むというような経験です。そして、さらにリー・チャンドラーを苦しめるのが、誰も俺を罰してくれないということなのです。ならば自分で自分を罰するしかないという意識のもと、彼は自分で自分を罰し続けている男なのです。
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『プリシラ』砂漠と三人のドラァグ・クイーン

余計なシーン多い?よくわからないところで、何度も衣装を着替えてショーのようなことをする姿に幻滅しました。なんでここでまたその衣装を着てくる必要が?と思ってしまうだけで、よくわからないシーンの応酬に疲れました。カルト的人気もあったり、名作とも言われているようなので、なんだかちょっと非難しづらい空気ではありますが、率直にクソ退屈な映画でした。あまり感想も思いつきません。
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『甲鉄城のカバネリ 海門決戦』映像美。です

劇場版というだけあって映像が綺麗です。アニメもしっかり動く、動く。アクションシーンの見ごたえはたっぷりです。アニメ版のカバネリにあった重厚感、機械感は本作にもきっちり反映されています。カバネリの良さはひとえにこの「機械がずっしり動いている感じ」「鉄の塊が重厚感を持って動く」という部分にあると思っています。今作でもその全力の重み描写といいますか、蒸気機関やダクトやホースで繋がれた重たい感じの重機械群がゴリゴリと動いている感じを堪能できて、非常に満足できました。アニメで描かれる蒸気機関などが重厚感を持って動き回るさまってのはどうしてこう熱い感じになるんでしょうかね。甲鉄城も蒸気機関車でできていて、機関士の侑那
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『青天の霹靂』 掘り出し物みつけた

シンプルでわかりやすい。だからこそ胸に迫るものがありました。ラストの夕焼けの河原のシーンはこの美しい夕焼けは偶然を利用したのか?タイミング待ってたのか?非常に気に
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『マッドマックス 怒りのデス・ロード』怒りのデスデスロードレース

シャーリズ・セロンとトム・ハーディが主人公の今作。マッドマックスの主人公なのにメル・ギブソンじゃないなんてと思うかもしれませんが、そんなことは冒頭の10分ですっかり頭から消え失せていることでしょう。最初から最後まで息つく暇のないアクションとドラマで最後まで集中して鑑賞できることをお約束します。トム・ハーディのマックス役もはまり役と言ってもいいくらい、ぴったりの役どころであることがわかります。鑑賞中なんにも気にすることなく見られるほどにマックスに馴染んでいます。でも今作の最もぴったりで印象的な役はシャーリズ・セロン演じるフュリオサでしょう。左腕を失った孤高
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『リメンバーミー』祖先がいるから私がいる

あんな名声のために人を殺し、有名になる人気になるためになら手段を選ばない=心がないようなやつよりも、死者の国でも落ちぶれて文字通りの骸骨野郎になっていたヘクターのほうがずっと父親として適格だったでしょう。本当の父親は誰かというのは、なんとなく物語の中盤から薄々感づいていましたが、それでもヘクターで本当に良かったとなるのはエルネスト・デラクルスを途中かなりの悪役に変貌させたからでしょう。
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