『モヒカン故郷に帰る』おんりーわん沖田修一ワールド

映画

『モヒカン故郷に帰る』を見ました。このまま映画が終わらなくてもいいと思える至福の時間でした。以下ネタバレ無しの感想ざっくりまとめです。

モヒカン故郷に帰る

あらすじ

妊娠した恋人由佳(前田敦子)を連れて結婚報告のために故郷へ7年ぶりに帰ってきた売れないデスメタルバンドボーカルの田村永吉(松田龍平)。熱狂的な矢沢永吉ファンの父、治(柄本明)と熱狂的なカープファンの母、春子(もたいまさこ)。久々に家族が揃うが、頑固な父親・治(柄本明)は怒り心頭で親子喧嘩が勃発。それでもその夜は近所の住民も集めて結婚祝いの大宴会が行われたのだが、そんな折、癌であることが発覚する。

スローだけど飽きない心地よい雰囲気

沖田修一監督の作品には、「ああなんかこの映画終わらなくてもいいや」と思えるようななにか不思議な魅力があります。『横道世之介』はその魅力が存分に入った作品で、120分超えの長尺映画ながら、全く飽きることなく「映画世界にどっぷり浸りきって」楽しむことができる映画です。

この映画も「作品世界にどっぷりはまる」ことができれば面白く見られる作品だと思います。逆に世界観が合わない人にとっては退屈なギャグ映画と捉えられて終わりかもしれません。

沖田修一ワールドと表現されることが多いのは、それだけ変わった映画を撮る監督だからでしょう(褒め言葉)。

基本ゆるい登場人物、テキトーな人間やいい加減な言動が連発することで作品世界に独特のゆるーい雰囲気を付け足し続けていくような、延長しようと思えばこのまま4時間コースの映画にもできる雰囲気のある映画が多いです。

つまり、沖田修一監督の映画では、終わりも始まりものんびりとはじまり、ぼんやりと終わる。それでいてなにか心に残ったり、セリフをふと思い出したり。そんな映画体験ができるので好きです。

あまり他所では見ないような映画ですよね。作家性としてはかなりのアドバンテージかと。

この独特の間、独特のテンポ、独特の雰囲気を作り出せるのは監督の手腕。そして俳優陣の演技の賜物ですね。



『モヒカン故郷に帰る』はボケとツッコミのギャグ映画

ギャグに振り切った映画

この映画は沖田修一監督がギャグに振り切ったのか?と思わせるほど笑いの要素に富んでいます。特に死という一見すると不謹慎なものを不謹慎な雰囲気を排除して笑いに変えているのがすごいところです。

・「俺は癌なのか」と聞いて息子であるモヒカン永吉(松田龍平)は正直に頷き、彼女の由佳(前田敦子)は首を横に振る。「どっちなんだ」とツッコミが入る。

・泣き出しそうな弟を見遣って母晴子はガンであることを悟られまいと「水買ってきて」と病室の外に出すが、その気遣いに気づけないアホの子なので「何個?」と聞きに戻ってくる。「全員分!」とはねのける。


・オヤジの最後の看取りで流れる音楽がモヒカンのデスメタルバンド「断末魔」の曲

などなど、上げればキリがないほど、死にギャグがてんこ盛りなんですが、不思議と不謹慎だと感じたり、逆に笑えないというラインを超えずに面白いシーンとなっています。このへんのバランス感覚が絶妙だと思います。

ボケとツッコミのある日本的な笑い

この映画にはボケとツッコミが明確にある笑いどころが多数あります。田舎の子どもギャグ、死にギャグ、田舎あるあるギャグ、年寄りギャグ、どれも明確にボケる人がいて、そのあとすぐにツッコミが入ります。慣れ親しんだ笑いのパターンなのでどうしても声を上げて笑ってしまうシーンが何度もありました。

普通映画的笑いはボケとなるシーン一発で笑ったり、ブラックユーモアでの笑いというパターンが多いように思うのですが、この映画には明確なボケツッコミが設定されているので、日本ならではの笑いですね。

逆に言えば海外の人がこの映画を見たときに、そこの理解が難しいかもしれません。

豪華俳優陣の共演

豪華俳優陣の共演も見逃せません。前田敦子、もたいまさこ、柄本明、松田龍平、千葉雄大。

残念な前田敦子に注目

特に前田敦子の演じる由佳は最高でした。『もらとりあむタマ子』でダメ女を演じた前田敦子ですが、本作でもその雰囲気を漂わせるいい感じにいい加減な、考えてるようで考えてないぼんやり女子を絶妙に演じています。

本作では前田敦子の立ち位置が微妙に感じられるのですが(ギャグのキレもなんとなく他と違う)、そこが「血のつながった家族とは違う赤の他人」という雰囲気を作り出してもいるので、良かったのではないかと思います。

母、春子(もたいまさこ)にネイルを塗ってあげるシーンはほっこりしました。

モヒカン松田龍平がゆるい空気感の主役

主人公である永吉を松田龍平が演じているのが、この映画のゆるくてだらしない雰囲気を引き立てるのに一役買っています。というか俳優陣がどれも適役過ぎます。役にぴったりの役者がキャスティングされているので、キャスティングの妙といってもいいかもしれません。

この映画のキャスティングの妙は端役にも当てはまります。特に吹奏楽部の野呂くんとか、キャプテンとか。本当に絶妙に田舎感のあるキャスティングなんです。野呂くんのかっぱ寿司に行かなければと必死になるとこは笑いました。

ゆるい中にも絶妙なバランス感覚がここでも感じられます。計算しているけど計算していることをさとられないような演出だからこそ、この絶妙なゆるさ、絶妙なバランスは保たれているのでしょう。

最後の島を去るシーンでも、後ろ髪をひかれるわけでもなく、あっさりしたものです。親父が死んだのに。案外そんなものなのかもしれませんね。

ラストシーンにゆるさの中にも深みがあるのは、松田龍平の賜物ですね。


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