『マンチェスター・バイ・ザ・シー』贖罪のための自傷は誰かを救うことになるか
そりゃそうなるわ。と思うには十分すぎるほどの痛ましい過去を知ることになります。ですが、私はそれでもこの男は自分を罰しすぎているという憤りを感じずにはいられませんでした。この男の塞ぎ具合がどうにも見ていて痛々しいのです。リー・チャンドラーは人とのコミュニケーションを一切断ってしまっている。その理由は映画の中盤に明らかになります。ここではネタバレになりますので控えますが、こんな経験があれば、誰だってふさぎ込むというような経験です。そして、さらにリー・チャンドラーを苦しめるのが、誰も俺を罰してくれないということなのです。ならば自分で自分を罰するしかないという意識のもと、彼は自分で自分を罰し続けている男なのです。